内定式の準備で押さえたい4つのポイント
新卒採用担当者、就活学生にとって一つの節目となるのが内定式です。1時間程度の式典のみで終わらせる企業が多いものの、工夫次第では様々な効果をもたらすことができます。内定者が集まる貴重な機会において、効果を最大化させる方法をご紹介します。
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内定式の目的
まずは内定式の目的を確認しましょう。代表的なものとして下記の4つが挙げられます。
(1)入社意識の向上
内定証書を授与し、内定承諾書に記入・捺印して提出させるというプロセスを通じて、入社に向けた覚悟を促し、学生から社会人への意識が変わる最初の機会にすることができます。社長や役員、人事部長からの講話により、改めて自社のビジョンや事業の方向性なども確認することができます。
(2)不安の払拭
内定式を経ると内定辞退者は減る傾向にあるものの、入社に対する不安を払拭しきれない内定者もみられます。いわゆる内定ブルーです。この不安には「①自社に対する不安 ②先輩社員や同期に対する不安 ③自分自身に対する不安」の3つがあります。この時期特有の不安としては②③の混合系があります。内定式で同期と会い、同期に対して壁を感じたり、同期と比較をして劣等感を感じるというものです。これらの不安が入社後も続くと、早期離職につながる可能性もありますので、不安が大きくなる前に払拭したり、そもそも不安が生まれないように予防することが重要です。
(3)適性の確認
内定者とコミュニケーションを取ることによって入社後の配属を検討する場合もあります。式典後に内定者一人ひとりと希望配属先のヒアリング面談をする場合や、グループワークや適性テストを行って適性を測ることもあります。
(4)入社に向けた戦力化
内定者フォローの目的を「内定式までは辞退防止」、「内定式後は入社に向けた戦力化」と切り替える会社が多くあります。内定式後からは研修やeラーニング等を行う場合が多いようです。
この4つのポイントを抑えてご準備されると、より効果的な場になるかと思います。
内定式のスケジュール・内容
前述の4つのポイントを押さえて内定式を実施している企業の事例をご紹介します。
特徴としては「不安の払拭」と「入社に向けた戦力化」を押さえている点です。
具体的には、まず人事部長から「学生と社会人の違い」について講話頂き、社会人は成果を目指す必要があることをお話頂きます。
その訓練として、グループワーク(具体的な成果を目指す形式のもの)に取り組んで頂き、ワーク後に表面化したお互いの強みを内定者同士でフィードバックし合います。受けたフィードバックを基に自身の強みを自己分析して同期同士シェアさせます。
これらにより同期との関係性を向上させたり、自身の強みを把握させることによって不安が解消します。
さらに成果にこだわるマインドを醸成し、入社に向けた戦力化を促しています。
15:00-15:05 開会の辞
15:05-15:20 社長の講和 15:20-15:40 内定証書の授与 15:40-15:50 内定者代表の決意表明 15:50-16:00 人事部長の講話 16:00-18:00 仕事体験ワーク 18:00~ 懇親会
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内定式後に効果的なグループワークの例
前述した成果にコミットする訓練ができ、内定者の強みが表面化しやすいワークにはいくつかの種類があります。共通しているのは、具体的な成果目標を与え、その達成を促すという形式です。グループワークと言えど、成果を出すという点で本質的には仕事と共通しているため、学生から社会人への意識変化を促す方法として用いられます。
≪ワークの種類≫
①コンセンサス型グループワーク
ある情報を読み取り、それに対するお互いの解釈をすり合わせ、考えをグループでまとめるコンセンサス型ワークです。解釈は個々人でバラバラになるように緻密に設計されており、バラバラの中で一つにまとまっていくというプロセスを味わえます。お互いの考え方をオープンにしながら議論するため、相互理解を図れるとともに、相手を尊重する姿勢や、コミュニケーション力の向上が図れます。
②競争型グループワーク
限られたポジションを参加者同士で競い合い、獲得を目指す競争型ワークです。ゲーム要素が強く、競争が得意でない方であっても、楽しみながら徐々にのめりこんでいく仕掛けが含まれています。ワークを通じて自身の強みが分かるようになっており、内定者同士でお互いの強みを理解し合えます。
③戦略型グループワーク
自社・市場・競合という3つの視点で、様々な情報をを整理して方針を立てる戦略型ワークです。情報量やタスクが多く、チームで協力しながら進める必要があり、自然にチーム力が高まります。コミュニケーションや段取り、ロジカルシンキングなど、社会人として必要な様々な要素を学べます。
グループワークの準備方法
従来、内定式や内定者フォローイベントなどでグループワークを行う際は、人事担当者が自ら製作するか、外部業者から購入するという選択肢しかありませんでした。自ら製作するとしても効果のあるグループワークを作るためにはノウハウとマンパワーが必要であるため現実的には難しかったり、外部業者から購入しようとすると1つあたり50万円前後の費用がかかるため導入ハードルが高く、断念する企業が多い状況でした。
しかし、最近では内定者イベントに効果的な複数のグループワークがセットになっていて、レンタル形式で必要な時だけ安価に活用できるサービスも出てきました。このようなサービスを活用して、限られた人事マンパワーや採用予算でも、充実した内定者フォローを目指す企業が増えてきました。
また昨今のウイルス感染拡大リスクを避けるため、オンラインで内定式を実施される企業も多くなってきています。
オンライン内定式では、内定証書の授与や講話の他、相互理解や会社理解、戦力化を目的としたグループワークを実施される企業もいらっしゃいます。
そのようなオンラインでの実施は“内定者の負担軽減”や“会場費・交通費のコスト削減”という利点から、ウイルス収束以降も導入される可能性が高い実施形式です。対面かオンラインか、貴社ご状況に沿った実施形式について検討してみてはいかがでしょうか。
≪対面/オンライン実施 グループワークの種類≫
内定式は、内定者が集まる貴重な機会です。工夫次第では様々な効果をもたらすことができます。
自社の内定者には何が必要なのかを改めて検討されることをお勧めします。